第2回ゲスト 森本麻衣子さん 元レッズレディース選手 その3

第2回ゲスト 森本麻衣子さん 元レッズレディース選手 その3

 元レッズレディース選手で、昨季をもって引退した森本麻衣子さんに登場いただいた、今回の「トーク!トーク!トーク!」は、今回のその3で終了となります。最後に、レッズレディースやサポーターについての思いを語ってもらいました。また、インタビュー後記をつけていますので、ぜひ、ご一読いただければと思います。

一つ一つの質問に対して、自分の気持ちを正確に伝えようと、言葉を選びながら話す姿が印象的だった。(11.10.18)

高野 「自分はサッカーなんだ」という思いから始まり、昨季で選手を引退して、1年くらいが立ちますが、サッカーへの未練はないですか。

森本 未練…。うーん、どうだろう。ないと言ったら嘘になると思います。最近思うのは、レディースに少しでも関わらせてもらっていて、それでそういう気持ちを中和できているのかもしれませんね。
 完全に離れていたらわからないんですけど、今、すごく楽しいんです。学校で勉強していることも、やっていることも楽しいから、あまりそういう気持ちにならないのかもしれません。

高野 レッズレディースでの関わりというと、トレーナーの仕事の部分を勉強しているのだと思いますが、実際やってみてどうですか。

森本 実際、能仲さん(レッズレディーストレーナー)の手技や知識を学ばせていただき、とても勉強になっています。選手のときとは違った目線でいろんなことを感じることができていて、そういった部分も勉強になっていますね。

高野 森本さんにとって、ファン・サポーターはどんな存在でしたか。

森本 今もそうなんですけど、すごいなあ、という(笑)。本当にその一言に尽きる感じで。それが一番思うところです。あそこまで思ってくれるって、それは愛だよな、と。
 現役選手時代も、あまりにもすごいなというのは感じていたんですけど、やめてみて、あらためて本当にすごいんだな、と。絶対的な、何か、無償の愛というか。

リーグ優勝を懸けた昨季の最終節。埼スタで行われた大一番に右サイドバックで先発出場した。(10.10.31/日テレ戦)

高野 では、レッズレディースの日々というのは、どんなものでしたか。

森本 その場にいさせてくれて、成長させてくれて、本当に感謝、という感じです。あれだけの仲間を与えてくれて、出会いを作ってくれて、支えてくれて。すべてのことにありがとうございます、という。
 自分が成長させてもらえた場だったとも思います。

07シーズンのときには、頭を結わいた姿が森本さんのトレードマークだった。(07.07.1/新潟L戦)

高野 09年には一つの成果として優勝というものも経験していますが、森本さん個人としては、一人の選手として上達したいという強い思いを、常に持っていたんだなという印象です。

森本 そうですね。個人としては、そういう気持ちが強かったと思います。そういう意味では、優勝の印象をあまり強く感じていないところがあるかもしれません。
 でも、タイトルを獲るという、そうした経験は、したいと思ってもなかなかできませんから、すごくありがたい経験だったと思います。

高野 今後も、森本さんらしく、日々、一歩一歩進んでいきそうですね。

森本 いろいろと自分の勉強でもあるし、あまりあせりはないので、人間としても成長していけるようにしていきたいと思っています。

高野 長時間、ありがとうございました。

森本 こちらこそ、ありがとうございました。

(インタビュー・了)

□インタビュー後記 (高野和也)

 約1年ぶりに森本麻衣子さんに取材をして感じたのは、以前と変わらない強い意志と謙虚さだった。

 インタビューで彼女自身が話しているとおり、森本麻衣子というサッカープレーヤーは、なでしこジャパンに選ばれているような選手たちと比べれば、決して多くのものを持ち得ていた選手ではなかったと思う。

 だが、それでも毎シーズン、必ずある時期に、世代別の代表選手を始めとするライバルたちとのレギュラー争いを制し、出場機会を得て、チームに貢献していた。
 それを可能にしたのは、彼女自身が「何か揺るぎないモノ」と表現していた、強い思いが、常に身体の奥底で熱を持ち続けていたからだと思う。

 インタビュー中にあった、自分の選手人生も「長くはないと思っていた」という発言も、取材していた当時のことを思うと合点がいく。現役選手時代、コメント取材をするたびに、明るい表情を見せながらも「私は常に100パーセントでやらないと、後がないので」と話し、そして、そこにはどこか、悲壮感とも言えるほどの、切迫したものを漂わせていた。
 いま思えば、彼女の強いサッカーへの思いがにじみ出ていたのだと思う。

 日本の女子サッカーを取り巻く環境は、なでしこジャパンのワールドカップ優勝という偉大な結果を得て、変化し始めている。特に代表選手への注目は、これまでにないほど増している。
 だが、森本さんのような存在たちが、決して良い環境とは言えない中でも、確固たる思いと情熱を持って、サッカーに取り組み続けたからこそ、女子サッカーは続いてきたことを忘れてはいけないだろう。
 
 森本麻衣子という、決して多くの人に知られているわけではない女子サッカープレーヤーの存在も、あの偉業には確かにつながっている。
 インタビューを終えたとき、その思いがより強くなったのを感じた。

(インタビュー後記・了)

インタビュー中、笑顔を見せる森本さん。これからも現役選手時代のように、一歩一歩彼女らしく歩んでいってほしい。

□森本麻衣子(もりもと・まいこ) プロフィール
1983年7月25日生まれ。東京都出身。東京女子体育大学からレッズレディースの前身である、さいたまレイナスに加入。日本女子サッカーのトップリーグで7年間プレーした。粘り強い守備とひたむきなプレーが持ち味で、DFとして、サイドバックやセンターバックなどでプレーした。レッズレディースが初優勝した09年時にも活躍し、チームのタイトル獲得に貢献。昨季をもって引退し、現在は、新しい夢に向かって突き進んでいる。

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