第3回ゲスト 矢内由美子さん&島崎英純さん その1

「トーク!トーク!トーク!」の第3回は、「レッズ関連三媒体編集長鼎談」をお送りします。
 三媒体とは、「REDS TOMORROW=レッズトゥモロー」、「月刊浦和レッズマガジン」、そして我が「浦和レッズ・オフィシャル・マッチデー・プログラム」の三紙誌です。お忙しいなか、矢内由美子、島崎英純両編集長にお越しいただき、進行を清尾が務めました。

清尾 矢内さん、レッズトゥモローの紹介からお願いします。
矢内 はい。レッズトゥモロー(以下、RT)は埼玉県内で、朝日新聞を宅配で購読していただいている方に、レッズのホームゲームの前日に折り込みでお届けしている新聞です。「明日、レッズの試合がありますよ」という内容で、タブロイド判4ページ。2007年2月に創刊しました。2011年に百号を突破して、昨年で117号を数えました。ホームゲーム前日以外にも、シーズンインなどに発行されるので、年間22~23回の発行となっています。
清尾 レッズ関係のメディアでは一番発行部数が多いですよね。
矢内 はい。朝日新聞の県内宅配読者に行き渡りますから数十万部となり、レッズだけでなく、1つのサッカークラブの公式媒体としては日本で最大なのはもちろん、紙媒体としては世界でもあまり例がないでしょうね。
清尾 どういう層を対象として作られているんですか。

矢内 レッズには、非常にコアなサポーターが大勢いますよね。ゴール裏で応援するということでなくても熱心な方が多いです。その次に、そこまでではないけれど、レッズに関心があってスタジアムにもときどきは行く、という層がいらっしゃいます。RTは、それ以外の方々に読んでいただいて、レッズに興味を持ってもらいたい、という趣旨で作っています。ですからビジュアル的に1面の大きな写真で興味を引き、中身を読んでもらえるように考えています。

清尾 次に、月刊浦和レッズマガジンのことを島崎さんから。
島崎 月刊浦和レッズマガジン(以下、UM)は、2006年創刊です。ギド・ブッフバルト監督の3年目で、レッズが一番好調な時期で、正式に発刊したのは年末でした。なかなかレッズで月刊誌が育たないということで、チームが好調なことを機に、また月刊誌を作ろうということで始めたらしいです。当時はまだ僕が編集長ではありませんでした。僕が編集長になったのは、2010年の12月からです。
 サッカークラブを扱った月刊誌としては、名古屋の「月刊GRAN」とUMだけだと思います。レッズに特化した雑誌ですから、成績に売り上げが左右され、いまは非常に苦しい状況ですが、何とか続けたいと思っています。
清尾 発売地域はどうなっているんですか。
島崎 一応、全国誌ではありますが、約7割が埼玉県内で

すね。全国では、大型書店のチェーン店などには置いてあるところもありますが、九州や北海道ではなかなか難しいと思います。
清尾 でも書店に頼めば入りますよね。毎月必ず買うから、と言っておけば定期的にいつも置いてくれるでしょう。
島崎 そうですね。それと通信販売による定期購読も受け付けていますから、全国どこでも買えます。
清尾 書籍や雑誌の通販というのは取次や書店を通さずに版元が直接やりますから、送料がかからないですよね。本の定価と同じ額で送料込みで買えるのがいいですよね。MDPはふだんからクラブ直販ですから、通信販売の場合は送料もいただかないと赤字になってしまうんですよ。RTは埼玉県外では入手できないんですか?
矢内 東京の方からよく問い合わせがあるんですが、システムとしては残念ながらできないですね。
清尾 新聞の販売網というのは各都道府県でまとまっていますから、埼玉県版の朝日新聞が配られているところでなければ、折り込まれることはないでしょうね。
清尾 お2人が、どうしてそれぞれの媒体の編集長になったのか、ということを聞きたいですね。
矢内 私は、スポーツ新聞であるスポニチ(スポーツニッポン)に1990年に入社して、記者をしていました。2006年の6月に退職してフリーになるんですが、その年末から年始にかけてクラブから「RTという媒体ができるので、その編集長
をやらないか」というお誘いをいただいて、ありがたくお受けしたという次第です。私は取材記者が長かったのですが、編集局の整理部という、紙面のレイアウトと見出しを担当する部署にも3年近くいて、そういう知識とスキルがあったことも幸いしたと思います。レッズの担当は2001年と2004年でした。
清尾 あれ?会社を辞めたときはレッズ担当じゃなかったですか?
矢内 2005年と2006年は、日本代表担当で、レッズ担当は別にいました。でも当時のレッズは日本代表選手を多く出している、最重点クラブでしたから、しょっちゅう来ていました。
清尾 それでレッズ担当だったような気がしたんだ。
島崎 僕、清尾さんからRTを手伝わないか、と電話をもらったことがありますよ(笑)。
清尾 そうだ。矢内さん一人では大変だろうから、誰か経験者で副編集長的な人が必要なんじゃないかということになって、島崎さんはどうかと思ったんです。たしかレッズフェスタの日で、さいたまスーパーアリーナから電話した記憶があります。
島崎 で、違う人を紹介したんですよ。
矢内 あ、私もその場にいましたね。記憶がよみがえってきた。
清尾 島崎さんは、どうやってUM編集長の座を奪い取ったんですか。
島崎 奪い取ったわけじゃないです(笑)。僕はずっとUMに原稿を書かせてもらっていたんですが、2010年は売れ行きの点で難しい問題を抱えていたので、何か変化が必要だということになったんですね。
清尾 当時のレッズの成績からすれば、売れ行きが落ちるのはあり得ることですね。
島崎 それと編集プロダクションである、フロムワンの内部の人事異動もあって、僕に編集長をやらないか、ということになったんです。ぶっちゃけて言うと、社員がやるよりも外部に編集長を委託した方が経費がかからないんですよ。僕も週刊サッカーダイジェスト時代に雑誌の編集経験がありますから、お受けしました。

清尾 日常の仕事の様子を伺いたいですね。どんなサイクルで仕事をしているか。
矢内 まず1面の写真を決めますね。たとえば開幕号だったら、今季はどういうレッズを見せるかという特徴的なものを載せます。2011年でいうと、ペトロヴィッチ監督でしたね。2010年は柏木選手でした。開幕号には、そういう今年の顔になる人を持ってきますね。
 その後2~3面の内容を決めます。2面は、翌日の試合に向けてのプレビューが中心です。3面はちょっとひと息つけ

るような内容が多いです。一番気を遣うのは1面です。まず写真、次に見出し、そして本文。やはり手に取ってもらい、広げて見てもらうためには1面が最も重要ですね。そうやって自分の原稿を書き進めながら、見出しも決めていきます。構想は前から練っていますが、実際に原稿を書くのは試合日の1週間前ぐらいからですね。今は専従者が私一人ですので、1面に関しては広報部と相談しながら決めますが、2~3面に関してはほぼ編集長の判断で作り始めます。校正の段階でクラブに見てもらいます。
清尾 写真と見出しが重要、という点ではスポーツ新聞と通じるところがありますね。新聞は取材記者が書いた記事に見出しをつけるのは整理記者ですけど、RTは記事も見出しも矢内さんがやっているんですよね。 
矢内 そうですね。ほぼ1人でやっていますから。
清尾 僕は、自分で書いた原稿に見出しをつける段になって、良い見出しがつかないときがあるんです。つまりは原稿が良くないということなんですけど(笑)、そんなときは見出しを決めてから、それに合わせて原稿を書き直したりします。
矢内 RTは、先に見出しをある程度決めてから書き始めることが多いですね。特に1面は。
清尾 スタジアムにふだん来ていない人に、興味を持ってもらおうという新聞ですから、1面の見出しが非常に重要ですよね。とにかく手に取って開いてもらわないといけない。
島崎 その辺は、雑誌の編集の場合は違いますね。編集者は、書いてもらった原稿に見出しをつけるのが仕事ですから、そこで良い見出しをつけられるのが良い編集者なんです。良い見出しが思い浮かばないから原稿を書き直してもらうわけにはいかないですから。先に見出しをつけるということはないですね。
矢内 まあ1人でやっているということで必然的にそうなるんですよ。
島崎 でも、先に見出し、というのも面白いアプローチだと思います。
清尾 僕は新聞系だから、見出しだけである程度記事の内容がわかるものにしなければならない、という考えなんです。でもMDPレギュラーライターの小齋秀樹さんは「ネタバレするような見出しはやめて欲しい」と意向なんですね。そこで、よく議論になります。たしかに中身を読むことを前提にMDPを買ってくれた人たちですから、そこまで内容を類推させる見出しでなくてもいいかな、とも思いますね。
島崎 新聞の場合は、見出しやリード文だけを読み流せば、だいたいの出来事がわかるようなものでなければならない、というのがありますよね。
清尾 RTの場合、自分から購入するのではなく、新聞に折り込まれてくる「コミュニティーペーパー」で、無料であるゆえに大事にされないかもしれない。そこで興味を惹くようにしなければいけないのだから、新聞よりも難しいですよね。
(続く)
カテゴリー: 未分類   パーマリンク

コメントは受け付けていません。