第3回ゲスト 矢内由美子さん&島崎英純さん その2

(その1から続く)
島崎 UMの場合も、表紙に載せる文字や写真にはだいぶ気を遣っていますよ。
清尾 島崎編集長になってから、表紙のイメージが変わりましたね。
島崎 僕の好みなんですけど、それまでポーズを取ってもらったり、加工したりしていたんですが、選手はプレーしている写真が一番かっこいいんで、なるべくそういう迫力のある写真を使うようにしています。
清尾 話が飛びますけど、サポーターの写真もそうなんですよ。真剣に応援しているときが一番かっこいいんで、カメラを意識してピースしても僕は撮りません。小さい子とかは別ですけど。
島崎 どんな人でも何かに打ち込んでいるところがかっこいいですよね。特にレッズのサポーターは硬派ですから。それは、この3つの媒体に共通しているところじゃないですか。
清尾 でもUMはページも多いし、内容もやわらかいものありで、バラエティーに富んでいるじゃないですか。
島崎 以前はやわらかい企画はなかったんです。

 でも硬派なものばかりだと読んでいて疲れちゃうんじゃないかと思い、僕も読んでて疲れちゃうんで、選手の素の表情のものも必要かな、と思い、僕が編集長になってから少しやわらかいものも入れています。
清尾 RTは中面をいかに読んでもらうか、ですね。
矢内 3面に号替わりでコラムを載せているんですよ。朝日新聞の記者の方にもお願いして、チームからではない街の視点から書いていただくこともあります。
清尾 僕も去年のナビスコ杯決勝の話を書かせてもらいましたけど、いま思うと一般の方に読んでもらうには少しマニアック過ぎたかな、と反省しています。
島崎 僕も書かせてもらったことありますね。あのときはレッズの話を書かなかったな…。
矢内 イングランドのトットナム・ホットスパーの話でしたよ(笑)。3面は、このコラムを読んでもらいたいですね。それと2面に選手のオフ・ザ・ピッチ的なものを入れていたんですが、その後、4面に移しました。4面はクラブ情報が多いので、そこに目を引き付けようということで、選手の素の話を入れることにしたんです。

島崎 UMでは、人気選手の情報も欲しいけれど、そうでない選手のことも載せてほしいというリクエストが多いですよ。
清尾 難しいですよね。媒体の特性が違いますから。
矢内 選手のサッカー以外の面を載せることで、ああ、こういう選手もいるんだ、と知ってもらえるんじゃないかと思うんですね。
島崎 表紙は人気選手になってしまいますけどね。去年で言うと、直輝が2回、原口は3回表紙でしたね。柏木も2回かな。
清尾 MDPは基本的に試合に絡んでいる選手をタイミングを見て表紙にしていますが、よほどのことがないと1シーズンに2回はありませんね。
矢内 表紙に限らずですけど、RTもクラブが監修しているオフィシャルな媒体ですから、どの選手も平等に載せていこうという時期もありました。しかし、最近は人気選手中心になっていますね。
清尾 RTは、タブロイド判4ページの新聞を、まず読んでもらうための工夫が必要ですからね。1面と4面は第一関門として重要でしょう。
島崎 UMの場合は、コアなサポーターの読者が多いですから、ふだん一般メディアに扱われない選手も載せないと怒られちゃうんです。
清尾 以前は、全選手の近況をそれぞれ写真つきで数ページにまとめていましたね。
島崎 あれは僕がやるようになってからやめたんです。どうも原稿が面白くなくて。僕が書いていたんですけどね(爆笑)。全員を毎回さらっと書くよりも、何人かを深く書いた方が良いと思いまして。そうすれば年間通せば全選手が1回以上は詳しく登場することになりますから。
清尾 去年のMDPは、選手のサッカー以外の趣味などを毎回リレーで載せていました。たとえば青山が初めての給料でお母さんに財布を買ってあげたんだけど、それを今も使ってくれていてうれしかったとか。永田はゴルフが上手でチームで一番うまい自信があるとか。そういう話なら、サッカーに興味がない人でも、ちょっと見てくれるんじゃないですかね。その企画、今季のMDPではやらないんですが。
清尾 島崎さんは、これまでの号で、最も手ごたえを感じたものはどれですか。
島崎 僕が手ごたえを感じたのは、編集長になって最初の2010年12月号で「そこに信念はあるのか」と表紙に載せた号ですね。スポーツ紙の記者を集めて討論会をしました。
清尾 ああ、僕は腹立てながら読みました(笑)。
島崎 何の脚色もせずに載せましたからね。今も「浦和レッズ再建委員会」という、いろんな方に書いていただいている企画があるんですが、そのきっかけになったのがあの座談会です。クラブにとって耳の痛いことも、敢えて載せるというのも僕の信念なので。
清尾 UMは1月号と2月号が合併号でしたが、今年に入って休刊になるという話が流れてきて、びっくりしたんですが。
島崎 そうなんです。そもそもUMで合併号になったのも初めてだと思うんですね。
清尾 MDPも中2日でホームが続くときなんか、合併号にできたらどんなに楽か、なんて思ってしまいますが(笑)。
島崎 シーズンオフになると、話題も少なくなるから、ということだったんですが、編集部の判断ではなくて、発行元のいろいろ厳しい状況の中で決断したことだったんですね。
清尾 たしかに試合がないと話題も少ないし、売れ行きも良くないでしょうからね。
島崎 それでも年末にはいろいろと動きもあるじゃないですか。しかし去年に関しては、サポーターのみなさんも振り返りたくないし、未来図も描きにくい状況だったんでしょうね。かなり売り上げも良くなかったようです。
清尾 実際に、休刊という話はあったんですか。
島崎 詳しくは言えませんが、2012シーズンを見通して、雑誌の発行が成り立つのかをしっかり見なければならない、ということがあったんですね。しかし現実には、優勝した2006シーズンなどに比べれば、かなり売り上げが落ちていますから、その中でやっていくのは、難しいのではないか、というのが、その休刊という噂が流れた要因だったと思います。
清尾 レッズを専門にした月刊誌というのは、UMで4誌めになると思います。これまで、浦和レッズの雑誌ということで発行されていたものが無くなっていく、という現実は、僕のような仕事に携わるものとして、寂しさを感じずにはいられませんでした。
島崎 周りからは、レッズでなければ月刊誌など成り立たない、と言われるんですけど、レッズであっても決して簡単なものではないということです。実際に過去3誌がなくなってきたわけですから。やっぱり作り手の側がしっかり考えないと継続はできませんし、興味も持たれないです。
 いま僕もいろいろ模索していますが、チームの成績によって左右されてしまうという現実はありますね。
清尾 正直、Jリーグが始まったころ、あるいはレッズが優勝し始めたころは、レッズというだけで成り立っていた部分もあったと思います。
 しかし、UMはそこだけ拠り所にするのではなく、プロの編集プロダクションが作っているので当然ですが、雑誌という商品としてクオリティーが高いものだと思います。これは絶対に大丈夫だ、と思っていたのですが、それでも厳しいということですね。
島崎 そうですね。フロムワンという総合編集会社がやっているから、これまで成り立っていた部分があります。しかし、本来はUM単体でもしっかり利益も残して成り立っていかないといけないんですね。それが現状では厳しくなっているということです。
清尾 レッズが低迷を続けていることが影響しているのは間違いないですね。
島崎 UMは常にフラットな目線と若干の批判精神というものを大事にしてきて、それは変えるつもりはないんですが、2011シーズンに限れば、あまりにネガティブなことが多すぎて、UMとしてはブレずにやってきたつもりでも、ネガティブなことが大きく扱われることで、サポーターの方々がレッズに幻滅するような状況になってしまったということもあるんじゃないでしょうか。
 これは清尾さんにもお聞きしたいんですが、去年はレッズを取り巻く環境が非常にダメージを受けた年なのではないでしょうか。メディアもそうだし、サポーターもそうだと思います。
 これまで来ていた人がスタジアムに足を運ばなくなったというのは、考えられないことだと思うんですね。
清尾 でもレッズが埼スタを使い始めた2002年、2003年のころは、入場者は今より少なかったくらいです。それがナビスコ杯で優勝し、リーグでも勝ち始めたころから入場者がどんどん増えていったんですね。特に2005年の途中から2007年にかけては、ホームで25試合連続無敗でした。試合を見に行けば勝つ、という状況だったわけで、そのころの5万数千人の埼スタと、今の3万人台の埼スタとの大きな違いは、やはり成績があると思います。
 2002年のころは、それまでの駒場でチケットが完売して、行きたくても行けなかった人たちが来られるようになった3万人ですよね。去年の3万人は、どんなに成績が悪くても来てくれた3万人です。その人たちの顔ぶれまでが同じかどうかはわかりませんが共通している部分もあると思います。この人たちは本当に大事にしなくてはいけないし、いま空いている2万数千の席を埋めようとして、この3万人の方々に愛想を尽かされるようなことがあってはならないと思います。
島崎 すごく危うかったと思うんですよ。去年来てくれた人たちはギリギリのところで踏みとどまって我慢してくださったと思いますが、去年の中ごろから終盤にかけては、そういう
人たちの思いまでも消えそうな危機感がありました。
清尾 UMは埼スタに5万人の人が来てくれる時代にできたんですよね。MDPもその時代に48ページになったんですけど。
島崎 そういう意味では、みんなベースのラインを高いところに置いていたんですよね(笑)。ですから定価も創刊時のままで来ていたんですが、若干改定せざるを得ないかもしれません。読者の方には大変ご迷惑をかけてしまいますが、ページ数も増やす予定ですので、ご協力をお願いしなければなりません。ちょっと価格が高くなっても読んでいただけるような内容と質を提供していきたいと思います。
清尾 ところでUMの次号は3月12日発売ですが、さすがに開幕戦の内容は載りませんよね。
島崎 これが月刊誌の宿命で、もう開幕しているのに、開幕戦が載らない、ということになってしまいます。でも、これだけインターネットメディアが発達した時代ですから、月刊誌に速報性はそれほど求められないと考えています。
清尾 その分、準備期間のことを深く書いていただいて、今季のレッズを見る指針のような号にしていただければ。
島崎 はい。ミシャ監督は広島で6年もやっていますから、当時の広島をよく知る方に書いていただいて、ミシャサッカーというものの分析ができればと思っています。
(続く)
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