窓側の男

 飛行機に乗るときは、ギリギリまで待合室で仕事をしていることが多いので、席を選べれば通路側を取る。窓側だと、後から行ったときに、すでに通路側に座っている人を立たせるのが嫌だからだ。遅くなれば、荷物入れがいっぱいになっている可能性が高いが、国内便はせいぜい2時間弱。足もとや膝の上に置いておけないことはない。

 土曜日、Jリーグの開幕戦で広島に行くときもそうだった。
 通路側の席を取って、遅くに搭乗した。機内はほぼ人が埋まっていたが、自分の席の横、窓側は空いていた。今日は満席と聞いていたので、後から来るだろうと、座らずに待っていた。また立つのが嫌だったからだ。荷物入れはすでに満杯だったので、レンズとショルダーバッグは座席に置いていた。

 その男は、すぐにやってきた。ここしか空席がないのだから、見つけるのも楽だったろう。そいつは俺の方をチラリと見て、持っている荷物を自分の席に置き、背負っているバッグを入れるスペースを探し始めた。
 ない。そうだろう。この客の数で、この時間に来て、スペースを見つけるのは難しい。あちこちの荷物入れを開けては、ずり落ちてくるものを押さえながらまた閉める。そんなことを何回か繰り返すと、ようやくその作業が空しいことに気が付いたのだろう。キャビンアテンダントのところへ行き、自分のための荷物収納スペースを見つけるように要求した。その間、俺はずっと通路に立って待っていた。

 男は席に戻ってきたが、自分の席には座らなかった。とりあえず座ってCAを待てばいいのに、通路に立って待っていたのだ。だから俺も座れなかった。座ったところで、どうせすぐに立たなくてはいけないのだ。男が、自分のために俺が間抜けに立っていることに気づくのを待っていた。普通なら、このオッサンは何で立っているんだろう、と不思議に思うはずだ。そして常識があれば、自分が待たせていることを理解するはずだ。

 理解できなかったらしい。CAが少し離れた荷物入れにスペースを見つけ、男のバッグを受け取って入れた。それを目で確認し、CAから「○○番にお入れしました」と報告を受けると、ようやく自分の席に座った。俺には何の一言もなかった。俺がすぐに座れば、さすがに気が付くだろうと思ったが、やはり状況を把握できなかったらしい。結局、男は俺を2分間ほど待たせて何の挨拶もなく、悠々としていた。

 先日、中国に行って来たばかりで良かった。自分のために他人に犠牲を払わせることを全く厭わない人間がいても不思議でない、ということを少しは知った後だったから。

 だが、そんなちっぽけな不満も、浦和レッズ初のアウェイ開幕戦勝利、という歴史的快挙(笑)の前に吹き飛んでしまった(じゃ、書くなよ)。

 現地のみなさん、お疲れ様。

 さて今季初のMDP製作に馬力かけねば。今日1日のデスクワークに、すべてがかかっている、と言っても過言ではない。18時間デスマッチに勝利を!
(2013年3月4日)
 
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