「ジャッジ」

サッカーノート vol.31 「ジャッジ」

 今回は、審判について書きます。

 8月4日のJ1リーグ第20節レッズ-F東京戦で、田中達也選手がクロスを上げると、F東京のDFの左腕にボールが当たり、ハンドかと思われましたが、オンプレーとして流されました。

 また、8月11日の第21節神戸-レッズ戦では、加藤順大選手が大久保選手をうまくセーブしましたが、PKとしてジャッジされました。

 それぞれ映像で確認しましたが、F東京戦のシーンはハンドであり、神戸戦のシーンはPKではなかっただろう、と考えています。

 ただし、現行のルールでは、ジャッジが覆ることはないですし、シーズンをトータルで見ていけば、こういうことはどのチームに起こりうることで、レッズが助かる場合もありますし、結果的にとんとんくらいになるだろう(本当にそうなるかは別として)という気持ちで受け入れています。

 でも、じゃあ、このままでいいか、というと、そうではないだろう、とも考えます。

 MDP414号で鹿島戦のプレビューを書くために、鹿島―磐田戦を映像で見ていたのですが、こちらも大きなミスジャッジと思われるシーンがありました。1-1のスコアで迎えたシーンで、磐田の駒野選手が蹴ったFKが壁にあたり、鹿島GKの曽ヶ端選手の前に高くバウンドしてくるんですね。このとき、曽ヶ端選手の前でロドリゴ・ソウト選手がそのボールの軌道に合わせて曽ヶ端選手の近くまで行き、ヘディングしようとジャンプしていました。

 曽ヶ端選手はおそらくその動きも気になったのだと思いますが、ハンブルしてゴールインしてしまったんです。しかし、これをレフェリーは、ソウト選手が曽ヶ端選手と接触したため、と判断し、ソウト選手のファウルとして、得点を認めませんでした。映像で見るとわかるのですが、身体の接触はありませんでした。ですから、本来ならこのゴールは認められるべきだったんですね。

 そして、これに関しては、鹿島のジョルジーニョ監督もこのように述べていました。

 「しかし残念なのは、レフェリングミスが勝敗を分けたということ。残念ながらあれは磐田の得点だったと思うし、ファウルはなかった。もしかすると我々が負けたかも知れない。以前から言っていることだが、レフェリングに関しては我々がどうすることもできないので、関係者の皆さんにはしっかりと議論を重ねて日本サッカーの向上のために万全を尽くして欲しい」(鹿島アントラーズ公式サイトから引用)

 ジョルジーニョ監督、潔いコメントで非常に好感が持てます。自分が学生時代サイドバックやボランチをやっていたので、彼は大好きな、あこがれの選手でしたし、レッズに勝っては欲しくないですが、ある程度、監督としても成功して欲しいと思っています(笑)。

 話がそれましたが、私は、ここでジョルジーニョ監督が言っている、レフェリングに関して、議論を重ねることが必要というのは、非常に大切なことだと考えます。

 それも、ミスジャッジだからあの審判は駄目、という感情的なものではなく、建設的な議論を進めていく必要があると。

 で、私見では、やはりテクノロジーの導入が不可欠なんじゃないか、と考えています。

 よく、ミスジャッジがあった試合の後に、選手が「審判もプロなのだから、しっかり見て欲しい」と言います。選手側からすれば、その意見は至極まっとうだと思います。彼らは、そのミスジャッジによって、多くのものを失ってしまうおそれもあるのですから。

 でも、少し距離を置いて考えて見ると、1980年代のような、牧歌的でスローテンポなサッカーならいざ知らず、105m×68mのピッチ上の中で、非常にスピーディーなプレーが展開される現代サッカーでは、3人の審判だけですべてを正確に把握することは不可能だし、限界に来ているのだと思います。
 ですから問題があるのは各審判の能力ではなく(もちろん中には審判の技術や力が足りず、向上を促さなければいけない方もいるとは思いますが)、彼らが与えられている環境にあるのだと考えます。

 つまり戦術や選手が進化し、サッカーというスポーツが変化してきた中で、審判が働く環境だけが多くの変化をせず、状況に合わなくなってきているということです。ならば現行のルールや制度を変えて、審判がより正しい判断を下せるようなアシストをする、別のアプローチが必要な段階にきているのだと思います。

 その有効手段の一つがテクノロジーの導入ということです。プロサッカーだけに限られてしまうかもしれませんが、すでに欧州では導入されているようにレシーバーを装着し、主審がアシスタントレフェリーなどと、よりコミュニケーションを取りやすい環境でジャッジを進めていく、あるいはゴールラインを越えたかどうかを判定する機械を導入する、さらにはビデオ判定なども考える余地があると思います。もちろん、ビデオ判定は、どういったプレーの場合に適用されるかなどルール作りもしなければなりませんが。

 加えて、個人的には、審判を増やすという措置も有効だと思います。今年のユーロでも導入されていましたが、各ゴール近くに1人ずつ配置させる形ですね。

 もし、それがJリーグでも導入されていれば、少なくとも先に挙げた3つのジャッジは違った判定になっていたかもしれません。

 審判はルール上、絶対的な存在とされていますが、しかし、彼らは人間です。彼らも非常なプレッシャーにさらされながら、その判断をくだし、仕事を行っています。

 だから、ことさら彼らを非難するというよりも、同じサッカーのゲームを作る仲間として、彼らがよりよいパフォーマンスを発揮できるような環境作りに着手していくべき、と考えます。今は欧州などが機械の導入を検討したり、審判を増やした形を試したりするなど、先進的な試みを行っていますが、Jでも欧州や世界がそうなったから、導入するということではなく、逆にJから解決方法になるような有効的な手段を作り、世界に向けて発進していって欲しいですし、そうなれば素晴らしいと思います。

 で、最後におすすめのDVDの紹介です。
 『レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏』

 題名のとおり、レフェリーについてのドキュメンタリーです。08年のユーロのレフェリーたちを追いかけた非常に興味深いものです。サッカーにおいて、レフェリーがいかにプレッシャーにさらされ、厳しい環境の中でその仕事に取り組んでいるかが示されています。おそらく、レンタルなどでも見られると思いますので、ぜひ、見てみてください。

サッカーノート vol.31 「ジャッジ」 <了>
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